「キャブコン」とはキャブオーバータイプ(エンジンが運転席の下にあってボンネットがない)の小型トラックに、専用の居室を架装したキャンピングカーのことキャブオーバーコンバージョンを略してキャブコンと言う
見た目も中身も、いわば「ザ・キャンピングカー」ではいったい、キャブコンとはどんなキャンピングカーなのか
※正確にはキャブコンは国産のみの名称
似たような形状でも、アメリカ車はクラスC、ヨーロッパ車はアルコベンと呼ぶ。ここでは、国産キャブコンについて解説します
キャブコンとは
キャブコンの魅力はさまざまあるが大別すると
この3つが代表的ではないでしょうか
これらはいずれも、ビルダーが作った「キャンピングカー専用ボディ(ボディシェル)」のおかげで叶うメリットです
自動車メーカーが荷物や人を乗せるためにつくった「ボディ」の内部だけを居室に架装したのではなく、シェルごと作り上げることでキャンピングカーとしての使い勝手や性能を第一に考えることができている、というわけだ
そうなるとプロの力は凄い!住みやすい空間作りを徹底しています
それぞれの魅力を、詳しく解きほぐしてみよう
居室の広さ
車内で「生活する」キャンピングカーの場合、室内空間の広さは快適性に直結する
ポイントのひとつは、中で立って歩けるかどうか「何をするにも中腰」では、長時間の滞在はきびしいのではないだろうか?
窮屈であろうことは容易に想像できる
普通の車の場合、ボディの断面は天井に行くにしたがってややすぼまった台形であることが多いが、キャブコンのシェルはきっぱりと真四角
この差が頭上の圧迫感に明確な差を生む
さらに、上部には収納庫が付くのでわずかでも天井付近のスペースの違いは重要だ
断熱性の高さ
一般的な自動車はほとんど断熱されていないのが普通だ。走行中はエンジンの力を利用したエアコンで冷暖房ができるので、断熱の必要がないからだ。バンコンなど、メーカー製の車体をそのまま使うキャンピングカーでは、車体の隙間に断熱材を入れるのだが「いくらでも入れられる」という訳ではない
その点、シェルから架装するキャブコンは設計の段階から断熱のことを考慮
断熱に加え防音にも優れている
レイアウトの自在さ
バンコンのように、メーカー製の車体の内部だけを架装する場合ドアの位置や数は変更できない
車の構造上や法規の関係もあり、家具や設備の配置にも制約がある
その点キャブコンは、キャンピングカーとしての使い勝手を考えて一から設計
ドアや窓の位置、大きさ、家具の配置にいたるまでレイアウトの自由度が高い
キャブコンにも弱点が?
こうしてみると、いいことづくめ
まるで万能のキャンピングカーのようにも思えるがもちろんキャブコンにも弱点はある
シェルから作るのでどうしても価格は高くなる
既存の車の内部だけ改装するのと、車体そのものから作り上げることの違いは大きい
だが、それこそがゆとりある空間や快適性のカギを握っているともいえる
運転性能・乗り心地はいまひとつ…
ベース車両が経済性優先のトラックなので、動力性能や運転席周りの質感などはいまひとつ
また、人を乗せるためのバスとちがって荷物相手のトラックは乗り心地への配慮も少ない
手頃なサイズのキャブコンとなると、1~2t積みのトラックがベースになるがこういうサイズの貨物車両は近距離配送向き
つまり、高速走行や長距離走行のことは視野に入れていないので運転性能の点でも、同じクラスの輸入キャンピングカーに比べると力不足は否めない。
当然、バンコンよりは大きい…が?
既成の車両の内部だけを居室に架装する「バンコン」に比べれば、当然、サイズは大きくなる
特に居室については、前にも説明したとおり壁面は垂直で屋根も直角
真四角なフォルムをしている分、車高も高めだ
そんな特性に加え、色が白っぽいこともあってキャブコンは「大きく見える」
そこでその大きさにためらう人は少なくない
「こんな大きな車、トラックなんて運転できない」「私には無理」
キャブコンについて聞くと、未経験の人の口からよく出てくる言葉だ
だが、ちょっと考えてみると、実は恐れるほどの大きさでないことはすぐわかる
さて、本当にキャブコンは大きいのだろうか?
キャブコンのサイズについて考えよう
まず、国産ビルダーがキャブコンを作るときの目安としているのが
これは一般的な月極駐車場やコインパーキングの枠の大きさ
つまり、国産のキャブコンはその範囲に収まるように考えられている
さらに、ベースとなっている車両、例えばトヨタ・カムロードだが、少しデータを見てみよう
カムロードの最小回転半径は4.9m
同じくトヨタのタクシー車両、トヨタ・ジャパンタクシーの最小回転半径は5.3mだから、実はタクシーよりもキャブコンのほうが小回りがきくのだ
実際、国産キャブコンの標準的サイズは、宅配便トラックの一番小さいサイズのとほぼ同じ
そう考えると、狭い路地や住宅街の込み入った道をスイスイ縫うように走る姿がイメージできるだろう
見た目の印象に左右されて、やたらと大きく思われがちなキャブコンだが車高にさえ注意すれば
一般的な日本の道路を走るうえで、困ることはほとんどないはずなのだ
スタイル、室内空間、装備。どれをとっても、キャンピングカーの代表格ともいえるのがキャブコン
日本人の余暇の過ごし方、日本の道路事情、すべてを見越して、各ビルダーが工夫を凝らしている
見た目の印象だけで「大きそうだから無理」と敬遠するのはあまりに惜しい!
まずは大きさ、価格、あらゆるデータを確認して、本当に無理なのか、検討してみるのがおすすめだ
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